コーヒー流通の要だったモカ港
モカ港は、イエメンのアラビア半島西部に位置していた港町です。コーヒーとの関わりが深く、この港から出荷されるコーヒー豆を一般的にモカと呼んでおり、現在でも名残りがあります。港の名前が、コーヒーの代名詞として使われるくらいコーヒーの産業によって栄えた港町でした。この港を拠点にヨーロッパにもコーヒーの文化が拡がっていくことになります。
モカ港とコーヒーの繁栄期
17世紀になると、モカ港とコーヒーは最も繁栄する時代に入ります。コーヒーに関わる貿易を中心に栄え、街には砦を作り、その砦を中心に城壁が築かれました。街には、貿易に携わる数百人のユダヤ人がいたとされています。その時代、オスマン帝国がモカの港町を支配していました。帝国は、港に出入りする船や紅海を通過する船に対して、モカでの納税を義務づけていました。
衰退から現在にいたるまで
一時期は、絶頂を迎えたモカ港とモカコーヒーの貿易ですが、18世紀に入り、ペストが大流行することで繁栄に陰りが見え始めます。ペストにより、人口の半分を失ってしまい、その出来事とともに街の発展と貿易も衰退をしていきます。19世紀前半まで、イギリスをはじめとする欧州の数カ国がモカに工場をおいてコーヒーの輸出をおこなっていましたが、外国からの攻撃や内戦などの影響により、近代に入るとついにコーヒーの貿易は幕を閉じました。現在は、港の名前も変わり、漁業や観光の産業がおこなわれています。