モカの歴史をひも解く

【選びやすいモカ】

コーヒーの中でも世界的にシェアが高く、日本人にも好まれるのがモカです。バランスの取れた味わいで、単体で飲んでもブレンドにしても良く使い勝手の良い種類だと言えます。また、価格が安く気軽に飲めるものもあれば、高級豆に属するものもあって選ぶ楽しみも与えてくれます。

【港の名前】

このモカというのは、イエメンの海港の名前です。昔アフリカがコーヒーの最大の産地で、アフリカで作られたコーヒーが欧米に輸出されていました。その拠点となっていた港がモカ港だったため、その名前がコーヒーの種類として広まったわけです。ちなみに、モカと言うとイエメン産のものだけでなく、エチオピア産の豆も指します。エチオピアもコーヒー栽培の一大地域ですが、輸出する際はまとめてモカ港から出荷されることが多かったためです。世界にはそれぞれの産地の名前を付けたブランドがたくさんありますが、モカは最古のブランドコーヒー豆だとされています。

【世界に広まる】

こうしたコーヒー豆の輸出向けの生産は15世紀頃に広まり、あっという間に世界中に普及していきました。当時のアフリカは奴隷制度が非常に強く残っていたため、モカと奴隷の歴史というのは切り離すことができないものです。ヨーロッパの輸出業者や現地の商人にとっては、こうしたモカの取引は大きな利益をもたらすものとなりました。そのため、コーヒーそのもののことを「モッカ」と呼んでいたこともあり、コーヒーの代名詞でもあったほどなのです。