モカの由来はイエメンの港町
「モカ」とは、17世紀に貿易の中心地として栄えたイエメンの港町、アル・モカから輸出されたコーヒー豆のことです。とはいえ、モカの豆は、アル・モカという土地で採れた豆という訳ではなく、イエメン中部の山岳地帯で収穫された、様々なアラビカ種のコーヒー豆です。
エチオピア産でもモカ?
エチオピアで採れたコーヒー豆も同じアル・モカ港から輸出されていたため、エチオピア産でも「モカ」と呼ばれます。例えば、イエメン産のモカタマリ、エチオピア産のモカハラーなどは有名かと思います。イエメンのモカでコーヒーが流通し始めたのは、ちょうどコーヒーが飲料として広く受け入れられるようになった頃でした。
現代のイエメンでのコーヒー生産
イエメンのコーヒーには、独特の野性的で個性的な風味があり、世界の様々な国でコーヒー生産が行われるようになった現在でも、コーヒーの世界で素晴らしい名声を維持し続けています。アル・モカでの貿易が消滅してから何世紀も経っていますが、イエメンの農家はまるでタイムスリップしたかのような昔ながらの方法で、コーヒー生産を続けています。
イエメンの農民の間では、「子供を大切にするようにコーヒーを大切にしなければならない」という言葉があります。実際にイエメンの農園を訪れてみると、山腹を切り開いた高地の農地棚で、農家の人々は何世代にもわたって受け継がれてきた農法によりコーヒーを大切に育てています。
植え付け前に湿気を減らすために灰の中で種を培養したり、雑草を燃やして虫を殺したり、地元の家畜を使って有機肥料を作ったりと、化学薬品を使わず、人の手で丁寧に育てられていることがわかります。